精進弁当

極楽寺では、春秋のお彼岸には、お精進のお斎(とき)を召し上がって頂いておりました。コロナ禍でいろいろな変化がありましたが、一番残念なのは、大勢が集まって食事をする場面がなくなったことではないでしょうか。極楽寺でも令和二年春彼岸は付け回向のみ実施し一般法要の中止、秋彼岸は付け回向・一般ともに法要は行いお斎は中止となりました。

しかし、このままでは精進のお料理を召し上がって頂く文化そのものが消えてしまうような気持がして、今年の春から思い切ってお精進のお弁当をご用意してみました。春では思いのほかご希望が多く、最初は30個くらいかな、と思っていましたが、最終的には70個のお申し込みを頂きました。

この秋も同様に予定し、メニュー検討を行いました。煮物・和え物とお浸し・漬物などの基本は一緒ですが、季節感を加えて何品目か変更させました。煮物には、大変立派な干しゼンマイ(魚沼黒又産)をお檀家様から頂戴したのでそれを使わせて頂きました。また春には卵焼きを付けたのですが、住職の義妹のご実家から立派なさつま芋を毎年頂戴ておりますので、それを使おうといろいろ試作し、今回のフルーツきんとんになりました。サツマイモ料理は出来立てはきれいですが、時間がたつと色がくすんできてあまりおいしそうには見えません。このフルーツきんとんはパイン缶を使用しその汁を煮汁に使っているため、冷めても鮮やかな黄色が見事な品になりました。和え物は極楽寺名物のジャガイモと人参のクルミ和え。クルミをたっぷり使用し贅沢な和え物です。お浸しは、秋を感じて頂ける菊・ほうれん草・ブナピーをスダチを効かせてご用意しました。今年は定期市の農家の方に特別にお願いして見事な「かきのもと(菊)」が手に入りました。シャキシャキした歯ごたえの秋を感じる一品となりました。

お米はコシヒカリの新米です。新潟のお米の実力は冷めてからだと確信しております。炊き立てはどんなお米でもおいしいものですが、冷めてからはその差が歴然とする気がいたします。この度もお弁当に新米を使うことができ、大変ありがたい事と感じております。

仏様の御供え、ご希望者、スタッフの分を入れて全部で96個のお弁当を作成いたしました。前日からお手伝いの皆様にお越しいただき、ほぼすべて手作りです。早朝からお手伝いを頂いた皆様、お弁当を御希望下さった皆様、大変有難うございました。

いつか、また皆様にお集まりいただき、精進のお斎を召し上がって頂ける日が来る事を願っております。