精進弁当

お彼岸には、お斎(おとき)があり、法要の後、お精進の昼食を召し上がっておりました。コロナ禍では、マスクを外して食事をする場面に、最も気を遣わなければならない状況になっています。お精進であり、お寺での法要後ですので、大きな声で騒ぐこともないけれど、やはりいろいろな方が一堂に会し食事をするというのは、避けなければならないと、昨年一年はお斎を中止しておりました。今年もお斎はまた無理な状況ですが、お弁当としてお持ち帰りいただき、召し上がって頂こうと、精進弁当をご用意いたしました。

メニューはいつものお斎を基本とし、様々な工夫をして準備いたしました。30個くらいかしら、予想していたのですが、有難い事に大変好評で、70個のお弁当のご希望がありました。お客様の70個と寺方、事務方、勝手方の分を合わせると90個分の準備を行いました。

未経験の数ですから、お米の分量を考えたり、盛付の順番まで細部にわたり話し合い準備を重ねてお彼岸を迎えました。19日は煮物などを朝8時から、20日は朝7時から煮物に再度火を入れ味を確認したり、卵焼きやお浸し和え物などの調理、そして90個分の盛付作業を行いました。お手伝いの方々にご協力を頂き、無事作り上げることができました。

これは、盛付前の煮物です。全部別々に調理しております。左上からミニガンモ、人参、こんにゃく、大根、左下から絹さや、椎茸、車麩、サツマイモです。

ジャガイモと人参のクルミ和えや菜の花のお浸しは、小分けのカップに入れて準備です。


こうして、お弁当が完成しました。ご飯は、もちろん三条産のコシヒカリです。最近、全国に銘柄米ができて、新潟コシヒカリの威光が鈍っているような報道もありますが、新潟コシヒカリの実力は、冷えてからも発揮されると、県民は新潟のお米を愛しております。炊き立てはどんなお米でもおいしいと思いますが、新潟のお米は時間がたって冷めてからも大変おいしくいただけるのです。おにぎりやお弁当にしても、いつでもおいしい新潟米です。今回使用したお米は、秋彼岸の際に佛供米としてお上げ頂いた、お檀家様がご苦労されたものです。気温40度という猛暑を潜り抜けてもこの品質ですから、立派なものだと思っております。

右下上段はしば漬けと胡瓜の浅漬けです。しば漬けは先代のころから取り寄せいている京都田中漬物店の品です。歯ごたえがあっておいしいしば漬けです。きゅうりは三条産がようやく出ましたので早速使用しました。二日間塩だけで漬け込んでいます。ご飯の脇にあるカップは、細切りこぶです。こちらも先代のころから使っている東京佃茂の品物です。この佃煮としば漬け以外はすべて手作りいたしました。材料も、三条産県内産をメインにしています。

右の一番下が、卵焼きです。例年の春は人参の白和えをお坪に入れるのですが、生の豆腐を調理し持ち帰り弁当に使用するのは心配でなので、今回は卵焼きにいたしました。この卵焼きは極楽寺特製で1本(卵8個)で10人分できるので、9本を1時間半かけて焼きました。なかなか焼きごたえのある作業でした。様々な食材すべてが90個あるわけですから、大変な作業でしたが、皆様のご協力で無事に時間通りお渡しすることができました。

初めての弁当作りで、まだまだ工夫が必要と思います。今後さらに勉強しよりよい精進弁当にできたらいいと思っております。お召し上がりになった皆様のご感想を是非お聞かせいただきたいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。