エール!
この4月からNHKの朝ドラ「エール!」が始まりました。作曲家 古関裕而さんがモデルのドラマです。古関さんと言えば、夏の全国高等学校野球大会(甲子園野球)のテーマソング「栄冠は君に輝く」が一番印象にあります。もちろん1964年の東京オリンピックの「オリンピックマーチ」NHKスポーツ中継の際の始まりの音楽「スポーツショー行進曲」「長崎の鐘」「阪神タイガース応援歌」など、どなたもそのメロディーは耳にしたことのある曲ばかりだと思います。
その「エール!」の主題歌がGReeeeN(グリーン)という4人の男性グループが歌っている「星影のエール」です。この曲を準備していた時は、放送が新型コロナの影響下にすっぽり入ってしまう事など、分からなかったはずです。
GReeeeNのメンバーは福島県の大学で知り合い、音楽活動を行っている歯科医師です。仕事との両立をするために、顔、名前は全く出さずに活動をしています。古関裕而さんも福島出身で、その御縁もあっての起用だったのかもしれません。
星影のエールは毎朝聞いていても、清々しく、メロディーも歌詞も心に響く素晴らしい曲です。この曲で毎朝が始まるという方も多いのではないでしょうか。
そのGReeeeNのプロモーションビデオが公開されていました。福島県59市町村の風景、福島の方々がエキストラとして参加した撮影風景など美しい映像と、彼らの歌声が重なり、素晴らしい映像となっています。福島県は東日本大震災での甚大な被害がありました。それ以上に福島第一原発事故の影響で、故郷を離れ塗炭の苦しみの中で時間を過ごしてきた方々がたくさんいらっしゃいます。その方々が美しい自然の中で笑顔を見せていらっしゃる事に励まされます。今もきっと苦しい現実が多いはずです。
この映像に励まされるのは、世界中が先の見えない新型コロナウイルスの蔓延という、経験した事のない現実の中にいるからのような気がします。
オリンピックの延期も、何百年も続いてきた伝統的なお祭りの中止も、親しい人と楽しくおしゃべりをすること、行きたい場所に自由に行ける事、そんな、何も疑わず当然必ず来る予定としてあったもの、生活の中の当然あるべき行事、当然あって何の不思議のない事が、すべてなくなっている現実。
この歌詞は、それを予感していたような、それでも暗闇に光を照らす星が必ずある、その光を信じて行こう!と呼びかけられているような気がします。
今、また首都圏を中心に感染者数が増加しています。やっと落ち着いたのに、というがっかり感が強いですね。これから先きっといいことが、と思っていた矢先だったからでしょうか。
でも、福島県の方々が経験した、あの原発事故の後よりも、今の私たちの現状は暗闇の中の光は強いと思います。弱音を吐かず、息切れせず、感染防止に努め、コロナと共に生きる勇気を持ちたいと、この映像を見て、この曲を聴いて改めて強く思いました。