子育てに優しい商店街
一見何の変哲もない、さびれた商店街です。ここは、かつて三条市のメインストリートであった、中央商店街です。車の向かっていく方向が弥彦山方面で燕三条駅や高速道路に続きます。今年は中止になりましたが、三条まつりになると、八幡様から天狗様行列が通り、夏祭りには民謡流しがおこなわれる通りです。
今は若い人たちが郊外に住宅を建て、街中は高齢者ばかりの寂しい街になりました。小さな子どもたちの姿もあまり見ることができません。しかし、ここでせっせと子育てをし、街の人たちが温かく見守っている生き物がいます。この写真でお気づきでしょうか。
つばめが懸命に子育てをしています。蛍光灯のはじっこにある茶色い塊がつばめの巣です。ヒナが黒い頭を見せています。この時期になると、しきりに空をつばめが飛び、足元を見るとフンで汚れている場所があります。そこに来たら上を見ると必ず巣があります。賑やかに子育て真っ最中です。道路や蛍光灯、看板などが汚れますから住んでいる人にとっては、あまり歓迎されないものですが、中央商店街の人たちは、毎日通路を掃除し、フンで汚れ放題にはなっていません。毎年必ず子育てに来ますから、この中央商店街は、つばめにとって「子育てに優しい商店街」ということになります。こんな風に優しく見守る住人がいる街に、是非若い方々が戻り、子どもたちのにぎやかな声が聞こえるようになるといいのですが。
写真を撮っていると親つばめが私を警戒して、巣のそばを離れません。
中には何羽くらいいるのでしょうか。親が飛んでくると賑やかに声を上げ、大きな口を開けて餌をねだっています。その瞬間を撮りたかったのですが、中々難しく、巣から顔を出している写真になりました。
ここは、「そのべ」さんというおもちゃ屋さんです。ここにも親鳥が巣を守っているように止まっています。人が来ると逃げそうなものですが、子育て中は人が近づくと親鳥はそこにとどまりヒナを守っているようです。
巣立ちはもうすぐでしょう。梅雨入り前の爽やかな風の中を、小さなつばめが巣立っていくのは、何とも微笑ましい感じがいたします。
コロナ禍で来年がどうなるか、予定がどうなるか分からない日々ですが、自然はきちんきちんと歩みを進めています。このつばめたちが来年も子育てに戻ってきてくれるだろうと思うと、きっと来年はいい年になる、そんな気がいたします。ワクチン接種も進んできました。感染予防にもうひと頑張りしましょう。